「卒業するから思うこと。『旅する魔王の物語』」
ちょうど1年前
僕はこんな記事を書きました
卒業する先輩との別れを経て
感じたことを自分の言葉でまとめたものです
そしてあっという間に1年が経過し
今度は僕が卒業する番となりました
サークル、ゼミ、バイトを始め
様々なコミュニティを卒業し
東京にいる友達に別れを告げる
そんな時期です
交友関係が広いとは言えない僕ですが
様々な友達に会い
色々な餞別を頂き
多くの言葉をもらい
たくさんの思い出を胸にしまいました
お世話になったバイトのチーフと最後に飲んだ時に言われたのが
「社会に出るにあたって俺から言えることはたった1つ。
ーー人を大切に。」
これから仕事で出会う人たちのことはもちろん
今の僕にできることは
友達を大切にすること
地球上の60億人のうちの一握りにも満たないけれども
多くの人々と出会い
その出会った中でも仲良くなりたいと思い
その仲良くなりたいと思った中から実際に友達になり
その友達の中でもまた会いたいと思う
そんな巡り合わせで出会えた
人たちを大事にしていきたいと思います
でも思うのは
卒業が最後じゃないということ
別れが永久じゃないということ
東京にこれからもいる人たちにとって
地元に帰る人は遠くに行ってしまうように感じるかもしれないけど
地方に行く人にとっては
東京に行けばみんなに会える
と安心感さえあります
時間的にも距離的にも会うのは難しくはなるけど
笑顔で
またね、
と言って別れたいです
魔王は1人だった
2本あるうちの1本の角が折れているから
勇者に受けた傷がある魔王は
他の魔王たちから馬鹿にされ
無視され
仲間外れにされてしまう
でも魔王は
生まれた時から角が折れていたのだ
ドロドロの闇と
ゾッとするような混沌から生まれた魔王
手の平からでる炎は
世界を焼き尽くすまで消えないだろうし
どんなに鋭い剣だって
傷1つつけることはできないはず
立派な魔王だ
でも孤独だった
あるとき
勇者との戦いにそなえてランニングしていた魔王は
他の魔王と出会った
彼は片方の翼がなかった
彼らは打ち解けた
初めての理解者だった
1人では怯えているだけだったが
2人になると勇気が湧いた
他の魔王たちに会いに行こう
片翼の魔王が言った
山を越えると3人の魔王に会った
2人が1人を罵って笑っていた
ツノ折れの魔王は勇気を出して言った
後ろには片翼の魔王がいる
何故彼をいじめるんだい
いかにも強そうな大きい2人は答えた
顔に傷があるんだぜ
そう言って笑いながら去っていく
片翼の魔王が彼に肩を貸すと
彼は立ち上がって言った
きっとあいつらも勇者に出会ったことなんてないんだ
2人の魔王は驚いた
彼の顔の傷も勇者によるものではなく
不注意の事故で負ったものだという
なのになんで僕らをいじめるのだろう
3人は考えた
議論しながら3人は歩いた
地獄の果てまで歩き続けた
ここまで来るのにたくさんの魔王に出会った
でも不思議なことに勇者にも
勇者に出会ったことのある魔王にも
ましてや魔物にだって会うことはなかった
3人は
魔王って何だろうと考える
でも答えが出ないままここまできてしまった
地獄の果てには
扉が3つあった
青い扉と
黄色い扉と
赤い扉だ
扉は1人が入ると消えてしまう魔法がかかっていた
この扉の先に何があるかはわからない
3人一緒かもしれないし
別々かもしれない
それぞれ好きな色の前に立った
片翼の魔王が言う
3人バラバラでもこの強い魔力があればまた会える
顔に傷の魔王が言う
でも結局勇者に会った魔王はいなかったね
ツノ折れの魔王が言う
僕らは他の魔王にびくびくする必要はないのかもしれないね
そう言ってツノ折れの魔王は扉に絵を描いた
2人が聞く
それは?
ツノ折れの魔王は答える
”ニンゲンカイ”というところにいるらしい生き物さ
2人へのメッセージだよ
そう言い残して扉の向こうに消えた
この世界には魔王しかいない
”またあおう”
”まおう”